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クマグスの森展 南方熊楠の見た夢2008/01/18 23:41

去年の話ですが。

ワタリウム美術館で現在開催中の展示。
「クマグスの森展 南方熊楠の見た夢」。

http://www.watarium.co.jp/

こちらでも行ったことだけは既に書いておりますが。
一度行きまして。
全て見終わって,この展覧会のパンフレットを買おうと
思ったら,品物がまだ届いてないと言うのですね。
仕方が無いので予約を入れて,配送にするか,自分で
取りに来るかどっちか選べと。
聞くと配送料が結構高いので,バカらしいと思い,また
取りに来ることにしました。
それで後日,渋谷方面に用事がある時のついでに取り
に行きました。
この展覧会はパスポート制になっておりまして,一度チ
ケットを買うと,そのチケットを提示すれば開催期間中,
何度でも見ることができます。
なかなか素晴らしいですね。
てことなので,また改めて全ての展示を見ました。
我が国が生んだ知の城。知の巨人。
ちょっとスケールがデカ過ぎてとらえどころが無いぐらい。
あの時代(19世紀末)に大英博物館にいたんですから
ね。
孫文と知り合いだって言うんですから。
並大抵の人物ではありません。

私は粘菌に興味を持っておりまして,飼ってみたいと
思っているぐらいなのですが,粘菌と言えば南方熊楠。
いろいろ調べると必ずこの名前が出てきます。
粘菌の展示も勿論ありました。
なんとも不思議な生物でありまして。
ぬらぬら動き回ったかと思うといきなり立ち上がり,
胞子を飛ばしたりする。
不気味な感じもしますが,なんだかかわいいところも
ある。
いつかちゃんと観察したいな。
できればウェブカメラで24時間ライブ映像というのはどう
ですか(笑)。

熊楠の世界は生物学に留まらず,民俗学においても大
きな足跡を残しております。
当時民俗学と言えば柳田国男という大看板がいた訳で,
当初は両者協力関係にあったらしいですが,途中から
対立し,ついには絶信状態になったそうであります。
折口信夫も頭が上がらなかった柳田国男に対しても,
気に入らなかったら容赦しない。
これは学問に対する純粋さの表れでありましょう。
日本における人柱の風習について,柳田国男が否定し
ようとした時,真っ向から反対したそうです。
パンフレットから引用しますと

 「こんなことが外国に聞こえては大きな国辱という人も
 あらんかなれど,そんな国辱はどこの国にもある」(「人
 柱の話」)と言うのである。
 そこには,狭いナショナリズムの枠組みを超えて,相対
 主義の視点に立とうとする熊楠の学問の伸びやかさを
 見ることができる。

国辱だからといって事実を歪めてしまうのは到底学問
とは言えない。
まあしかし,今ならそうあっさりと言えますが,その当時
ですから。
あ,今でも当時のことを言えないか(笑)。
これ以上書くと話がややこしくなるのでやめておきましょ
う。

あと驚いたのは熊楠愛用の硯ですね。
これは凄かった。
硯の真ん中が深くえぐれているんです。
墨を磨りまくって硯が削れてしまったのでしょうねえ。
どれほど書き物をしたらあんなになるのでしょうか。
私が学生時代に使っていた硯を見てみましたが,びくと
もしてないな。新品同様。
あの硯には参った。

この展覧会は2月3日まで開催。
興味深い資料がいっぱいです。
和歌山の熊楠ゆかりの地も一度訪れてみたいものです。

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