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借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 など2010/08/20 22:55

献血した時の検査結果が届きました。
意外なことに全て正常値でした。
まあ中性脂肪と尿酸値は出ないので,油断はできませんが,ガンマも
下がってましたので多少気休めにはなります。
ホント,意外でした。

で,東京都現代美術館で開催中の「借りぐらしのアリエッティ×種田陽
平展」,見てきました。
前半は,なんと言えばいいのかな。
ごっついセットが組んである訳です。アリエッティの世界の。
踏み込むと,アリエッティ気分を味わえる。
だからスプーンにしてもネジ一本にしても異様にデカい。
5~60cmぐらいあるかな,そんなサイズのゴキブリがもがもがしてた
り。
これはわくわくします。
なんぼほど金かけてんだと。
ただこれ映画見てから行くべきだったなあ(笑)。
そこらの壁の落書きなんかも,そういうシーンがあるらしく,そういうディ
ティールの凝り様というのは,見てないとわからない。
失敗した。
映画見てからもう一度行きたいぐらいです。
後半は種田陽平さんのこれまでのお仕事ですね。
映画美術のお仕事なんかを振り返るコーナー。
こちらも,「あ,この映画もか」と。
「スワロウテイル」とか「フラガール」とか。
「キル・ビルVol.1」「イノセンス」なんかも。
また宮崎駿監督のイメージが美術スタッフに渡って,どんどん固まって
いく様も見られ,興味深いものがありました。
10月3日までやってます。
夏休みだし,映画も公開中だし,親子で結構入ってたなあ。
現代美術館であんな人出を見たのは久しぶりだ(笑)。
でも,美術館に子供がいっぱいいる光景というのもいいですね。
http://www.ntv.co.jp/karigurashi/

そしてこれはまた備忘録なのですが。
「押井守と映像の魔術師たち」ってのを八王子市夢美術館でやってる
んですねえ。
私,別にアニオタじゃないですよ(笑)。
これも見たいのですが,ちょっと遠いかなあ。東京横断になりますな。
9月5日まで。急がないと。
http://www.yumebi.com/

あとは世田谷美術館の「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」展。
これも良さそうだ。10月11日まで。
http://www.collection-winter.jp/

夏休みもあと10日か。
ようやく少し落ち着きましたが,まあ今週も暑かったですわね。
気温が体温を上回っちゃダメですわ。
用が無ければ一歩も出たくないですが,そうも言っていられない。
キツい夏でした。
8月半ばも過ぎれば,時候の挨拶では「残暑の折」とか書くものですが,
残暑も何も。
猛暑ぶっ通しで,とても「残暑」などという生易しいものではない。
汗だくおやじは外に出るとみっともなくて困りました。
ビールも飲み過ぎた。
ぼちぼち落ち着かせてもらいたい。

最近行ってきた展覧会2010/07/28 18:48

まずは山種美術館でやっていた「浮世絵入門」。
広重の「東海道五拾三次」を一挙公開と。
勢揃いすると圧巻であります。
某社のお茶漬けを思い出しましたけどね。
広重だけでなく,歌麿,写楽,豊国,北斎なんかもありまして,えらいもんでした。
展示も工夫してありまして,技法の説明もわかりやすかったですね。
こちらは某T氏よりチケットを頂きましてありがとうございました。
またよろしくお願いします(笑)。
7月11日で終了しております。

山種美術館は広尾にありましてね。
そこから青山通りに出まして,バスに乗り六本木へ。
国立新美術館の「オルセー美術館展2010」へ。
これは凄かったなー。
圧巻。
「ポスト印象派」という副題がついておりますが,モネ,セザンヌ,ゴッホ,ゴーギャン,ルソー,……と,まあ大変。
図録にフランスのサルコジ大統領のコメントがありまして,その中に,「同美術館から将来再び一括して外に貸し出されることはおそらくないでしょう」と。
まあそうかもしれませんねえ。
またいい作品ばかりですしね。
今オルセーは工事中なんだそうです。
このタイミングで,他の国でなく日本に引っ張ってきたというのは,お手柄と言うか,こちらとしてはありがたいことです。
余談ですが,サルコジ大統領の挨拶の次のページに,日本国内閣総理大臣の挨拶もあるのですが,これが鳩山由紀夫氏でしてね(笑)。
この展覧会は5月26日から8月16日までなのですが,ご存知のように6月8日に総理が変わりまして。
この一件だけ見ても,ちょっとかっこ悪い。
ま,それはいいとして,展覧会ですが,実に素晴らしい。
私はモネ,ルノワール辺りはあまり好きではないのですが,今回来てたのは良かったねえ。ちょっと意識を改めないといかんかと思いました。
同じ会場でかつて行われたモネ展でもそう感じたのですが,難しいことにチャレンジしてるなあと。空気感が凄かった。
他ではロートレックが何点かあって,こちらは好きな画家なので嬉しかった。
「赤毛の女(化粧)」という作品があって,これは昔買った画集に載っていてお気に入りなのですが,前にサントリー美術館での「ロートレック展」にも来ていた。
今回二度目。オルセーの所蔵品をよその国で2回見られるって,考えてみたら凄いことなんじゃないかと。
あとはボナールも好きなのですが,こちらも数点あって得した気分。
なにしろゴッホにしてもゴーギャンにしても,超有名な作品がどーんとあるので驚いてしまいます。
他ではヴィルヘルム・ハンマースホイの「休息」という作品。
女性が椅子に座っている後姿なのですが,静謐と言いますか,沈思と言いますか,物憂げでしんとした表現に打たれます。
ポストカードを買ってしまった(笑)。
この展覧会はこのぐらいにしておきますか。
上記の通り,まだやってます。
http://orsay.exhn.jp/

で,次は別の日になります。
上野にGO!
最初は国立科学博物館,「大哺乳類展 海のなかまたち」。
海の哺乳類ならアザラシはいるだろう。
実はアザラシぬいぐるみの二代目を製作中なのですが,原型を作っていて,生きているアザラシの写真では資料として限界がある。手足がどうつながっているのか,しっぽはどうなっているのか,よくわからない。それでストップしてしまった。
どうにか骨格標本が見られないものかとずっと願望しておりました。
科博ならやってくれると信じておりましたが,はい,見事に展示してくれました。
その前に全長25メートル,シロナガスクジラの骨格標本を。


凄かったなー。
ヒレの部分を見ると,完全に手ですね。
こちらに近い生き物だということがシンプルに理解できる。
ちなみに画像の右上にぶら下がっているのはイッカクの標本です。こちらも変な生き物だ。
で,念願のアザラシ骨格標本。


ゴマフアザラシの剥製と骨格です。
隣にはワモンアザラシの剥製・骨格もありました。
もう撮りまくりましたとも。
このコーナーにはかなり居座って,変なおやじだと思われたかもしれませんが,目的を果たし大満足。
出口に近い辺りでは何故かペンギンが。


ということで,私の「行かねばリスト」の一つをクリア。
こちらはまだまだやってます。9月26日まで。
http://www.asahi.com/mammal/

その足で国立博物館の「誕生!中国文明」展へ。
鼎の出展があるということで,それは見ておきたいなと。
鼎については前にも書いておりますのでここでは特に書きませんが。
http://dameblo.asablo.jp/blog/2008/05/08/3487136
こちら↑で触れております。
↑でも書いている「爵(シャク)」という器も今回ありまして。
前に見たのと同じくベーゴマを伏せたような形のものが上部に二つ付いている。
前はその突起の意味がわからなかったのですが,今回推測ながらもその目的に触れておりました。
火にかざして酒を温める器らしいのですが,火にかける前に酒を漉す布などを固定するためのものではないかと。
結局はまだわからないらしいです。
なかなか説得力のある説だとは思いますが,何であの形なのかがわからない。
それぞれに,それこそベーゴマのようなぐるぐる模様が入っているのですね。
一つだけそうなら気まぐれでいいですけど,みんなそうですからね。
何か意味があるに違いない。
ま,謎と。
それはそれで面白い。
金縷玉衣もありましたね。昔の大陸の人はえらいもん作りますなあ。
科博の「海のなかまたち」は子供ばっかりでしたが,こちらはご年配の方ばっかり(笑)。
9月5日までやってます。
http://tanjochina.jp/

そしてこの日のとどめ。
こちらも「行かねばリスト」の一つ。
東京藝術大学大学美術館の「シャガール」展。
シャガールはもう大好きでしてね。
シャガールの名を見れば「行かねば」になる。
色彩の美しさは勿論ですが,愛に満ちていると言いましょうか。
今回も抜群でした。
1時間足らずの映画(シャガールの仕事ぶりの取材も含むドキュメントのようなもの)も上映していて,それも見ましたが,歴史も勉強になりましたし,人となりも垣間見えて興味深かった。
最後は南仏で生活しておりましたが,陶芸の工房はピカソと同じところで,表向きはフレンドリーに接していたようですが,シャガールはキュビズムがダメで,上の階と下の階で分かれて会わないようにしていたようだ(笑)。
前述のオルセー展の「ポスト印象派」じゃないですが,この時代は熱かったのでしょうねえ。
まあ頭がおかしくなって死んじゃったりもありますけどねえ。
とにかく,シャガールに浸りました。幸せです。
ポストカードも3枚買ってしまった。
藝大のシャガールは10月11日まで。
http://marc-chagall.jp/

これで「行かねば」は一通りやっつけたかな。
またアンテナを張り巡らせて,いいものを見にいかないと。日々勉強。

ボストン美術館展2010/06/24 02:02

もう終わってしまいましたが,行ってきました。
森アーツセンターギャラリーで開催しておりました。
これはまず見事なコレクション。
エル・グレコ,レンブラント,ムリーリョ,コロー,クールベ,ミレー,マネ,
ドガ,ピサロ,シスレー,セザンヌ,モネ,ルノワール,ゴッホ,マティス,
ロートレック,ピカソ……と,えらいものなのですが,同じ作家でもいい
作品を持ってますね。ボストンは。
私はモネ,ルノワールというところはもう一つ好みでないのですが,
今回出ていたモネ,ルノワールは良かったですねえ。
モネの空気感は半端じゃなかった。
あの突き詰めようは鬼気迫るものを感じます。

見終わるといつも図録を買うのですが,今回は3つから選んでくれと。
表紙の絵が3パターンあるのですね。
なんだったかな。モネと何かとゴッホ。
ゴッホにしておきましたが。
この図録の印刷が頑張ってますね。
帰ってからぱらぱらと図録を見て,ほとんどいつも色の違いや情報量
の大幅な低下でがっかりするのですが(止むを得ないことですが),
この展覧会の図録はそのがっかり度がいつもより低い。
印刷面がしぼしぼしていると言うか,細かいちりめん状の凹凸がある
ようですが,何か工夫があるのでしょうねえ。
デジタルデータもいいですが,こういう印刷物の資料というのも欲しい
ですし,その方が便利なこともありますので,印刷屋としての意地を
発揮してもらって,より美しい印刷技術を開発していって頂きたいもの
です。

大哺乳類展アゲイン,伊藤若冲アナザーワールド2010/06/11 18:08

まず国立科学博物館で開催中の「大哺乳類展 陸のなかまたち」が6月13日で終わるので,その前にもう一度行ってきました。
前回携帯電話のカメラでしか撮れなかったものを撮りなおしたい。
終了間際ということもあるのか,前回来た時よりは客の入りが多く,修学旅行の高校生も目立ちました。

会場に入ると,まずこいつ↓が迎えてくれる。

カモノハシはいずれ作ろうと思ってますので,手足がどうなっているのかアップで撮影したり。
この向かいにはレオポンもいます。
そこから奥に進むと,うわーっと剥製が並んでいて壮観。
入ってすぐのところにはこんな子が↓。

マレーバクの子供。
前にフェルトでこれを作ろうとしたのですが,この模様が面倒で中断しております。
しかし考えてみれば,この子はこの段階で命を落としたからこうなっておる訳で,それを考えると不憫だ。
後ろには大人のマレーバクもいます。

こちら↓はヒメウォンバット。

ウォンバットも作りたい動物の一つなのですが,地味って言うか,ずどんって言うか。
むしろ難しいかもしれない。

ラッコの親子↓。

いやまあ本当の親子ではないと思いますが。
この子もどうしちゃったのでしょうねえ。
ラッコは毛皮目的でボンボン狩猟されてましたからね。
「ラッコの皮のインバネス」なんて,今では顰蹙ものになってしまうかもしれません。

ずらずらと剥製写真を並べてもしょうがないので,この企画展での写真はこのぐらいにしておきますが。
この後久しぶりに常設展示を見てみようと思いまして。
子供の頃何度か来たことがありますが,あの頃は何を見てもわくわくしたものです。
その当時を思い出しつつ,よせばいいのに全フロアを見てしまった。
マラソンより疲れました。
今は「地球館」と「日本館」に分かれております。
展示の仕方も昔とは違い,工夫されております。
実は前回「陸のなかまたち」を見て,その中にイリオモテヤマネコが確かいたはずだと。
できればその写真を撮りたいと思っていて,確かにあるにはあったのですが,そのエリアは撮影禁止になっており,またそのイリオモテヤマネコは具が入っておらず,目も無い。
毛皮だけで伸びちゃってる。
だから撮れなかったのですが,日本館にいましたねえ。

やまぴかりゃー。
でもなんだか色もぼけちゃってますね。
古い剥製なのかな。

このフロアには大変有名な方もいらっしゃいます。

忠犬ハチ公。本物。
秋田犬ですわね。大きな犬ですわ。
昔は地下の一角にいたかと記憶しておりますが,今は日本館の2階におります。

ハチ公の上にはこちら↓。

南極で置き去りにされ,奇跡的に生きていたタロとジロの内のジロです。
もふもふ。

てことで科学博物館の全フロアを制覇。
日本館1Fのショップで売っているアノマロカリスのぬいぐるみの誘惑にも負けず,博物館を後にする。
この時点でもう歩きたくない感じでしたが,気合で千葉市美術館へ。
「伊藤若冲 アナザーワールド」展。
何が「アナザーワールド」かということですが,若冲の作品と言えば絢爛たる色彩を用いた細密画をイメージします。
この展覧会は若冲の水墨画を中心にしているということなのですね。壮麗な着色作品だけが若冲ではないと。
これが面白かった。
驚くほど大胆でざっくりとした線を引いてみたり。
そんな中でも,薄い墨を両方から滲ませた境界にできる線を用いる「筋目描き」という技法が冴えていたり。
他の人の作品もあるのですが,若冲の作品は何かぐっと迫ってくるものがあります。
また遊び心もあり,魅了される人が多いのもうなずけます。
前に国立博物館で開催された「若冲と江戸絵画 プライスコレクション」展。
あの時展示の中心になっていたのは,タイトルの通りアメリカ人,ジョー・プライス氏のコレクションでしたが,そのプライス氏も来館したそうです。
あの時はその展覧会と,皇居の三の丸尚蔵館での展示も見て,今回の展示も加えると,若冲作品の多くの部分を見たことになるかと思います。
ありがたいものでございます。
この展覧会は6月27日(日)まで。
入場料は1000円です。
市の美術館だからか,この美術館の入場料はいつも安い。
千葉市はエラい。
http://www.ccma-net.jp/index.html

ついでなので,現在開催中,或いはこれから開催の展覧会を私自身が忘れないように書き留めておきたい。

ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち
森アーツセンターギャラリー 6月20日まで
http://www.asahi.com/boston/

ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて
川村記念美術館 7月19日まで
http://kawamura-museum.dic.co.jp/museum/index.html

オルセー美術館展2010「ポスト印象派」
国立新美術館 8月16日まで
http://orsay.exhn.jp/

大哺乳類展-海のなかまたち
国立科学博物館 7月10日~9月26日
http://www.asahi.com/mammal/

シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~
東京藝術大学大学美術館 7月3日~10月11日
http://marc-chagall.jp/

借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展
東京都現代美術館 7月17日~10月3日
http://www.mot-art-museum.jp/index.html

フセイン・チャラヤン展2010/05/27 07:34

東京都現代美術館で開催中。
6月20日(日)まで。
 
前にもこの人の作品は同じ美術館で見たことがあるのですが,興味
を持ったのは,「video dresses」という,服にLEDをちりばめた作品。
自分も単純なものながら,LED電飾のシャツを着て走ったりしてお
りますので,どんなものなのか間近で見たいと。
実際見てみると,布地の裏にはかなりごっちゃりと電子回路がひし
めいており,こりゃえらいもんだと感心しましたが。
今回改めてじっくり観察してみました。
これ↓の右側の作品が展示してありましたが。
 

 
ただちかちかしているだけでなく,「video dresses」という言葉の通り,
映像が映し出されるようになっている。
ま,それだけと言えばそれだけなのですが,裾から覗き込んで(傍で
見ていたらかなり怪しいおやじだろうが)構造を見ると,光をうまく反射
させる工夫が見え,アイデアはシンプルでも,かたちにするのはなか
なか難しいことがわかる。
さて,これが私の電飾ウエアの今後に向けて,どう参考になるのかは
全くわかりませんが,金と英知と技術があれば,このレベルのものは
できている訳で,いつまでも同じものを着ていないで,発展させていか
なければならんだろうと決意を新たにしました。ってほど大げさな話で
はありませんけど。
同列に扱われたらフセイン・チャラヤンも迷惑だろうけど。
 
会場に入ると,なにやら工場のような騒音。
非常にうるさい。
なんだろうと思ったら2009年の春夏コレクションで発表した,「Silicone
Dresses」という作品に風を当てている。
そのファンの音だったんですね。
「Silicone Dresses」だけの映像が↓。
 

 
その時のコレクションのフルバージョンが↓。
 

 
この人で有名なのは,2007年の春物コレクションでしょうねえ。
こちらでも前に書いたことがあるかもしれない。
まあオチがえらいことになっていて,驚かされましたが。
↓です。(全裸注意)
 

 
ギミックの面白さは勿論ありますけれども,それだけに終わっていない
のは,この人が自然現象や物理法則,社会情勢などを敏感に肌で
感じ取っているからなのでしょうか。
ばーっと見ていきましたら,「風」,「重力」なんていうキーワードが出て
くるんですね。
最近また日本人が宇宙に出て行きましたが,宇宙空間では,我々の
当たり前が全く通用しない。
理屈ではわかっているつもりでも,実際に宇宙空間にいる人の映像
などを見ますと,地上では気にしなくていいことが極めて問題になる
ということを思い知らされます。
服装で言えば,女性はスカートなんか穿いていられませんね。
天地がはっきりしていないと人間は途端に具合が悪くなってしまいま
す。
「風」で言えば,空気抵抗というのは,スピードが遅ければそれほど
問題にならない。スピードが上がってくると,ぐいぐい抵抗が強まる。
速く空気中,或いは水中を突き進む必要のある物体は,所謂流線型
のような抵抗の少ないかたちにしないとうまくいかない。
それを我々は理屈抜きでイメージとして理解できる。
そうなると,ぱっと見て「速そうなかたち」というのが出てくる。
実際に速く動かなくても,「速そう」だとか,動きを感じるかたちという
ものがあります。
我々の持っている感覚をうまいこととらえて,刺激しているのかなあと。
それは逆手に取るパターンも含めてですね。
その辺が鋭いのかなと。
また,ストーリー性があります。
この人はファッションデザイナーという枠からむにむにとはみ出てい
て,映像作品もあります。これがまた不思議な魅力のあるもので。
その才はコレクションのステージでも発揮され,一味違った演出がな
されますねえ。
1998年の秋物なんかは緊張感が張り詰め,異次元の世界のようで
あります。
 

 
デザインはシンプル。民族衣装的でもありますが,結局どこに属する
のかはわからない。
個性的と言えば個性的なのだが,それゆえむしろ没個性になっていく。
言葉を封じられ,ステージに設置された鏡の間に立つことにより,その
没個性は無限に増殖し,その影に混ざり,溶け込み,希薄になってい
く。
実はこの↑映像では省かれているようですが,ついには口を塞ぐヘッド
ギアみたいなものだけの全裸になってしまうのですね。
のけぞります。
興味ある方は1998年のコレクションということで画像検索でもして
みて下さい。
(※後日注 また間違い。全裸になってしまうのは春夏のコレクション
でした。失礼しました。だから↑の映像に出てくる訳はなく,当然省か
れておりません。訂正します)
まあとにかく抜群に面白かったですね。
大いに刺激になりました。
ここまできたら最近のも出しておきましょうか。
2010年の春夏。
 

 
ちょっと昔のイメージでしょうか。
前に出した98年,07年なんかのぶっ飛び具合からすれば物足りなく
感じるかもしれませんけれど。
最後に出てくる,髪を薄い布で覆っての白いドレスなんかは実物が
ありましたけど良かったですよ。美しい。
肩のところは手の形になっていて,パンフレットによるとよじ登る上昇
志向と野心を表現しているのだそうです。
私よりちょっと若いぐらいらしいので,この先更に面白いものを見せて
くれるだろうと,楽しみなアーティストの一人であります。
 
フセイン・チャラヤン- ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅
 
東京都現代美術館
~6月20日(日) 10:00~18:00 大人1200円
http://www.mot-art-museum.jp/index.html

練習日誌10・04・092010/04/10 14:53

10キロジョグ。

すげー久しぶりに江戸川土手を走った。
調べてみたら,最後に走ったのは08年の10月。
1年半ぶりぐらいのことになります。
6キロぐらいのところでややキツくなってきて,心が折れそうになりまし
たが,我慢して走っていたら残り2キロぐらいですっと楽になる。
この感覚もひさしぶりのことであります。
キロ6分ぐらいのイーブンで走ったと思いますが,かつてよく走ってい
た頃は,練習でこんな走りはできなかった。
走力的には,1年半前と較べると格段に進歩したのが実感としてわか
ります。
ただ粘りがないので,そこはお稽古を積み重ねていくしかない。

話は飛びますが,目黒区美術館でベルナール・ビュフェと藤田嗣治の
展覧会があり,見てきました。
明日11日までの開催。
あちら方面に行くなら,せっかくだからかねてより気になっていたラーメ
ン屋の「八雲」を試してみようと。
池尻大橋なのですが,まずそちらへ。
これが良かった。
今回頼んだのは醤油味の肉ワンタンのタイプ。
他の人の注文を見ると,塩味のエビワンタンが多かったかな。
エビワンタンというのは,結構な絵心がないと難しいと思っております
ので,無難と思われる方を選択したのですが,あの店なら多分旨い
だろうなと思わせるに充分な実力でありました。
麺はやや太め。
しっかりとした歯ごたえのある麺ですが,食べ終わるまでスープで溺れ
ることもなく,しかもからみが良い。
スープは魚のダシがほわっと効いておりますが,これも嫌味でない。
濃ければエラいという風潮で魚臭いだけのスープとは一線を隔する。
丼にスープを注ぐ前にかえしと油を入れておりましたが,その油がやや
多いように見え,実際出てきたものを見ても確かに油が結構多めに
浮いておりますが,これもギトギトしたものではなく,さらっとしている。
常温でも液状の(笑)油でしょうね。これは何か工夫なんでしょう。
ワンタンもホントに雲みたいな申し訳程度に具が入っているものでは
なく,しっかりと食べごたえのあるものですが,雲を呑むような食感と
いうのも大事ではあり,それも失われていないバランス。
チャーシューも,やわらかければいいだろうと崩壊寸前まで煮たおして
冷やさないと切れないようなものでなく,実際焼いているのかどうかは
知りませんが,フチが赤い所謂チャーシューでありまして,肉そのもの
の味が残って上等。
久しぶりに旨いと思える一杯でありました。大満足。
そこからさっさと美術館に行って,他もハシゴしようと思っていたのです
が,せっかくだから目黒川を散策してみるかと。
目黒川の桜はもうだいぶ散り気味で葉もちらほら。
それでも気分のいいものです。
ぶらぶらと歩いて美術館まで。
目黒区美術館はたまに面白いものをやりますので,チェックしておか
ないといかんのです。
来週末からはガレだそうです。
で,美術館を出て,移動中に某氏より某鶏店に行かないかとお誘い
が。
取って返して某鶏店へ。
そもそも鶏肉屋さんなんですが,料理店もやっているというところ。
酒は純米酒しか置いてない。
鶏刺しのレバーを食って衝撃を受ける。
もう肉の域を超えている。強いて言えば,しつこさの全く無いフォアグラ
みたいな感じか。お菓子みたい。
酒もいろいろ試してみましたが,全てがそれぞれに個性があって素晴ら
しい。
放っておいたらエンドレスになってしまうことだろう。
この店は,20年ぐらい前に「DANCHU」という雑誌で見て気にはなっ
ておりました。
今とは違う場所で営業していたのですが,あろうことか某氏の住まいの
ホンネキで営業を再開。
あそこは凄いぞという話を聞いており,ようやく入ることができた訳です。
おやじさんは自分でも純米酒をぐいぐいいっており,昔は病気がちだ
ったのが,純米酒を飲みだしてから病気知らずという「純米酒健康法」
とも言うべきなんとも素晴らしく,都合のいい(笑)お話を聞くこともでき
ました。
一日四合ぐらい飲むらしい。
いつまでもお元気で,店を続けていってもらいたいと思います。切に。
これで帰途に着き,地元に戻ってきましたが,流石に疲れを感じ,
今ちょっとハマっているタイ古式マッサージへ。
ぐりぐりバキバキやられ,すっかり軽くなって帰宅。
ぐっすり眠って翌朝目覚めは爽快。
全然酒が残ってない。
いい酒は違いますねえ。
いい酒飲まなきゃダメなんだな。
先月なんか気付いたら浅草で倒れてましたからね(笑)。
あれは昭和の酔っ払いだ。
平成22年にそんなんではいかん。

医学と芸術展2010/03/08 02:33

すいません。もう終わっております。
森美術館で開催しておりました。
最終日の前日,土曜日でしたが,あそこは遅くまで開いているので,
仕事の帰りに寄ってみました。
目的はパトリシア・ピッチニーニの作品。
今回は「ゲーム・ボーイズ・アドヴァンス」という作品が展示されて
おりました。
ぱっと見は二人の子供なのですが,近寄ると異様に老けている。
そこではメッセージ的なものもありましょうが,そんなことはいい。
なにしろその造形力が凄い。
皮膚の毛穴とかの表現も凄くてですね。
間近で食い入るように見てきましたが,いやーどうやって作るんだ
ろうと脱帽ものでしたね。
皮膚はシリコンらしいのですが。
型で作るので,どうしても分割目ができてしまいますが,それは
髪の毛に隠れるようにしたりと工夫があるらしい。
遠くから見たら,二人の生身の子供がゲームしながら佇んでいる
ようにしか見えない。
この人の作品に触れるのは二回目ですが,今回もバットで殴られ
るような衝撃を受けました。
これだけでも満足なのですが,他も結構面白かったですね。
ダ・ヴィンチまでありましたからね(笑)。
解剖のスケッチみたいなものでしょうか。
あとは昔のレントゲン機がなかなかかっこよくて。
お医者さんの器具みたいのもあるのですが,なんかいいんですね。
かっこいい。
象牙の解剖人形も見事な細工で。あれはちょっと欲しいかも。
プラスティネーションもありました。
と言っても薄~くスライスした横断面一枚ですが。
ああなると全然人間ぽくない。
サイズも妙に小さく感じて,リアルに人間とは思えない。
何年か前に,生身の人間を型取りしたことがあるのですが,そこで
できた立体像は,それは勿論リアルではある,と言うか形としては
そのままなのですが(当たり前),あれっ?!と思ったんですね。
リアルっちゃリアルだけど,リアルじゃない(笑)。
それは凄く面白かったですね。
立体の写真みたいな感じかなあ。それもちょっと違うか。
彫刻は立体の絵か。
うーむ(笑)。
とにかく変な感じなんですね。
それがとても面白い。
あれもほったらかしで,いい加減なんとかしないといけないな。
まあそれはそれとして。
他にもいろいろありましたねえ。
人間ですから,人間に興味があるのは当然なんでしょうが,よくも
まあへんてこなことを考えるものだと思って感心してしまいます。
サンドペーパーを広げて,それに人間の骨(確か頭蓋骨だった)を
ごしごしこすりつけて,骨が削れて粉がペーパーに付着しますわね。
その骨をこすり潰した痕跡を見せられて,さあどうしたものかと(笑)。
嫌~な感じが胸にこみ上げてきませんか(笑)。
まあそういった心の動きも含めて,ということなんでしょうが。
総じて面白かったです。
帰りにパンフレットを買おうと思ったら,売り切れですって。
わかるわ。この展覧会のパンフは欲しい。
予約を受付けていて,発注しておきました。
今月中には届くらしい。楽しみです。

中央道藤野PA付近から見えるナゾの封筒2010/01/25 00:02

結構前から気にはなってたんですけどね。
去年の「河口湖マラソン」の帰り,うまい具合に渋滞していたので,
ついに撮影してしまった。
東京から中央道に入って,八王子を抜け,すぐに山に入っていく。
藤野PA辺りに来ると,いきなり山腹に封筒が張り付いている。
なんだありゃと。
気にはなったものの,なにしろ運転中ですし,他に気を取られて
そのことは忘れてしまい,今まで調べもしなかった。
中央道をよく使われる方はご存知だと思うのですが。
 

 
寄るとこんな↓感じ。ちょっと画像が荒いですけど。
 

 
なんのことだか意味がわからない。
で,調べてみましたら,要はアートなんですって。
藤野市の町おこしの一環で,「環境野外彫刻」を展開しており,その
うちの一つらしい。タイトルは「緑のラブレター」。
ふむ。
まあとりあえずは納得した。
次にふと考えたのは,これ,グーグルマップで見られるのではないか
と。
見られましたねえ。
 

大きな地図で見る
 
作品そのものの評価はともかく,グーグルマップで作品が見られる
というのは面白いですな。
グーグルマップでは私のボロ車も写っていて笑いましたが,車の屋根
に何か描いておくと面白いかも。
そうやって遊んでいる人は結構いらっしゃるんでしょうね。

08年9月以降,見てきた展覧会2009/02/23 02:02

「北京故宮 書の名宝展」 江戸東京博物館
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2008/0715/200807.html

「ピサロ展」 DAIMARU MUSEUM
http://www.daimaru.co.jp/museum/

「大琳派展」 東京国立博物館
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=5705&event_idx=1&dispdate=2008/10/7

「フェルメール展」 東京都美術館
http://www.tbs.co.jp/vermeer/

「ボストン美術館 浮世絵名品展」 江戸東京博物館
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2008/1007/200810.html

「巨匠ピカソ」展 新国立美術館 サントリー美術館
http://www.asahi.com/picasso/

「レオナール・フジタ展」 上野の森美術館
http://www.fujita-ueno.jp/

「ピカソとクレーの生きた時代」 Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_k20/index.html

てなわけで,いろいろ書きたいこともありますが,今更という気も
しますし,今回は敢えて書きません。
この内のいくつかは頂き物のチケットで見ております。
いつもチケットを下さる方々にはお礼申し上げます。
なかなか展覧会に行く時間も作れなくなってきまして,もどかしさ
も感じますが。
なにしろ,このような作品を見ようと思ったらよその国に出かけな
ければならず,それはなかなか大変だ。
何点かでもこちらに運んでくれて見られるというのは誠にありがた
い。
それが千何百円かぐらいなら見ますし,招待券を頂いてタダなら
もうありがたく足を運びます。
私は絵を描いているわけではありませんが,どこにどんなヒント
が潜んでいるかわかりませんので,可能な限りいろんなものを
見ようと心がけているのですが。
また,こちらが必死に考えて作り上げたものが,200年前に既に
出来上がっていたとかいう事態はがっかりであります。
そこでは知識というものが必要になります。
しかしあまりそこに拘ると身動きが取れなくなりますので,自分の
勢いというものも失ってはいけないなと。
まあ,それぐらいまでは整理してあるのですが,今は生活するの
に精一杯だ(笑)。
しかし今の状況で,何ができるかというのも考えていかないと
いけませんわね。
閉塞された状況で生まれるものというのもあるでしょうからね。
ある意味,チャンスの時期なのかもしれない。
とてもそうは思えませんけど(笑)。
ということで,領収書の整理に戻ります。

「今森光彦写真展」,「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチまで」2008/08/30 22:52

まずは「今森光彦写真展 昆虫4億年の旅」。
東京都写真美術館で8月17日まで開催しておりました。
電車に乗っていたら車内広告で宣伝していたのですね。
その広告の写真がなんと,キサントパン・プレディクタがアング
レーカムの蜜を吸っているところ。
と書くとややこしいですが,なにしろスズメガの一種がランの一
種の蜜を吸っている写真なのです。
アングレーカムというランはマダガスカル島に生えているのです
が,やたらと長い蜜溜まりが花の下にぶら下がっておりまして,
これを見たダーウィンが,「島にはきっと長い口を持つ昆虫がい
るに違いない」と予言し,その41年後にまさにその通りのスズメ
ガが発見されました。
この昆虫と花の話をだいぶ前に知り,面白いもんだと思ってお
りましたが,いきなり電車の中でそのスズメガがハチドリのように
ホバリングして長い口を伸ばして蜜を吸っている写真を見せつけ
られ,「!」。
これは大きな写真で見たい。
きっと他の虫の写真も素晴らしいに違いない。
てことで見てきました。この写真美術館は初めて入りました。
恵比寿のガーデンプレイスの奥にありまして。
帰りがけビールというのもいいですね。
で,なにしろ写真は素晴らしかった。
そのスズメガの写真も勿論ありまして,花はちょっと違うランで
あるかもしれない。説明には「彗星ラン」とあります。「アングラエ
クム・セスキペダレ」という学名が付いているそうで。
「アングラエクム」を英語読みすると「アングレーカム」にはなり
そうな気もしますが。
まあ同じか,或いは近種のランではあるのでしょう。
アングレーカムは緑色の細長い蜜溜まりがぶら下がっているの
ですが,今森さんの写真のランにはそれが無い。
会場の外,つまりは無料で入れるスペースには,このスズメガ
の標本も展示してありました。
蝶の口はゼンマイのように巻いておりますね。
このスズメガも生きている時はくるくる巻いている。
しかしそれがあまり長いもので,えらいボリュームになる。
標本では口を伸ばしてありました。
凄く長い。
初めて実物を見させてもらって,ちょっと感動しましたね。
私は正直なところ,そんなに虫は得意じゃないのです。
しかし面白い。
今森さんの腕も素晴らしいですが,気の遠くなるような地道な
フィールドワークがあってこその仕事ですね。
感服しました。
女性客も多かったですね。
他の虫の写真も美しかった。
大満足で会場を後にする。

その足で渋谷へ。
次はBunkamuraザ・ミュージアム。
「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチ
まで」。
シャガールと言われては見に行かない訳にはいかないので。
シャガールは3枚ありましたね。
かなり初期の作品で。
シャガールはシャガールで良かったのですが,この展覧会は,
言ってみればロシアの近代芸術概説みたいなもので,なかなか
面白かったですね。
1917年がロシア革命ですわ。
この辺の時代は芸術の世界も大変革の時代で熱いですからね。
ロシアでもどんどんぶっ飛んだ作品が生み出され,ロシア・アヴ
ァンギャルドの大きな潮流が起きたと。
しかしソヴィエトはそういうものは認めんと。
多くの芸術家が国外に亡命したりした時代であります。
とにかく熱いですわ。
まさに「青春」ですね。
ソヴィエトは勿体無いことをしたね。
まあ当時のソヴィエトは勿体無いどころの騒ぎではないことを
したのかもしれませんが。
1932年に党中央委員会決議で全ての文化団体が解散。
1934年には,第1回全ソ連邦作家大会で社会主義リアリズム
が公式の形式とされたそうです。
「公式の形式」ってねえ。訳がわかりませんが,当時のソ連では
大真面目にこんなことを言っていたのですね。
同じ年にスターリンの大粛清が始まっております。
良い悪いは別にして,大きく動いた時代であることは間違いない。
熱いです。青春です。
この展覧会も8月17日で終了しております。
いつも終了してからのレポートで申し訳ありません。