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東京JAZZ20072007/09/24 07:46

東京国際フォーラム ホールAで開催。
22日(土)の昼夜通しで見てきました。

昼の部の先陣を切るのは
「松居慶子スペシャルバンド」。
私は全く聴いたことがないのですが,アメリカでは評価が
高いそうですね。
「コンテンポラリージャズ」やら「スムースジャズ」などの
言葉がチラシにありますが,そういう区別というのはもう
一つ私にはよくわかりません。
なにしろ,自分の世界をきっちり作り上げていっていると
いうのはよくわかりました。
そこは好感が持てましたが,私がとやかく言う音楽では
ないようです(笑)。
共演のミュージシャンは南アフリカ,アメリカ,ブラジルと,
国際色豊かであります。

次。
「Lee Ritenour starring Alex Acuna,Patrice Rushen,
Brian Bromberg and Special Guest Bill Evans」。
昼の部のトリかと思っていたのですが,2番目に登場。
キーボードがJohn Beasleyの予定だったのが,Patrice
Rushenに変更になったんですね。
まあなにしろ凄いメンバーでして。
それぞれが超絶テクニックを持ってますし,また技巧だけ
に走るのではなく,遊び心もあります。流石の演奏であり
ました。
パトリシュ・ラッシェンが入ったこともあってか,彼女の
ヒット曲で,映画「Men in Black」でも使われた「Forget
Me Not」もやる大サービス。
私,ビル・エヴァンスを生で見るのは初めてなのですが,
要所要所で凄まじいプレイを見せてくれました。
ビル・エヴァンスと言えば,マイルスバンドにいたことでも
知られておりますが,そのバンドに入る時のエピソードが
忘れられません。
マイルスがサックス奏者を探していると聞き,電話をかけ
たと。
そしたらマイルスが,「お前はジョン・コルトレーンより上手
いのか?」と(笑)。
「それはどうかわかりませんが,最善を尽くします」と答え
たそうで。
幸い採用された訳ですが,ビル・エヴァンスも勇気ありま
すよね(笑)。
またベースのブライアン・ブロンバーグ。
いやー,凄かった。
もうなんだかわからないぐらいのプレイで。
マーカス・ミラーとスタンリー・ジョーダンとミロスラフ・ヴィト
ウズをごちゃまぜにしたみたいな(笑)。
でまたぐいぐいきましてね。
こんな凄い人だとは知らなかった。勉強になりました。
アレックス・アクーニャはコロコロでした(笑)。凄い元気。
ベテランの腕の冴えが光る見事なステージでした。
アンコールは「Rio Funk」(笑)。こてこてですな。

「Bob James Band featuring Dave McMurray & DJ Rob
Swift」。
あまりよく憶えてません。
ボブ・ジェームズの曲をやるのですが,何故かDJが入り
まして,なんだかよくわからない。
ターンテーブルの曲芸みたいなことをやってました。
まあ古いヤツほど新しいものを欲しがるのでしょう。
最後は松居慶子さんも参加。
前のステージとは違う真っ赤なドレスで登場。
ボブ・ジェームスと連弾している様子は,おじいちゃんと
孫のようで微笑ましいものがありました。

昼の部最後は
「Eric Benet with Michael Paulo Band」。
全然知らない人たちなのですが。
エリック・べネイが歌の人なのですが,上手いですねえ。
この人。
まあだから来るんでしょうが。
マイケル・パウロはサックスなのですが,この人も上手。
ハワイ出身だと言ってましたね。日系のハーフだと。
このサックスが虫みたいにステージを動き回って,なか
なか激しい舞台になりました。

12:00にスタートして,16:30頃終了。
夜の部まで2時間ほどありますので,国際フォーラムを
出て,隣の東京ビルに行き,地下にある「Belgian Beer
Cafe」でビール注入と食事。
http://www.belgianbeercafe.jp/
ベルギーのビールを取り揃えてまして。
好きな人にはたまらない店でしょうな。
料理もなかなかでしたね。
ムール貝の蒸し煮も気取ってお皿にちょびっとではなく,
大きな鍋にがさっとたっぷり出す。
ああでなくてはいけない。
店のサービスもなかなかのものです。
食いかけのムールが冷めているのを「温めなおしましょう
か」とか。
鶏の半身を蒸したものも,できたのをまず持ってきて見せ
てから「切り分けましょうか」と。
大したもんです。
そんなに馬鹿高くもないです。
あの店は使える。

18:30,夜の部スタート。
トップは
「The Benny Golson Quartet」。
「The」ですからね(笑)。
いやー,生のベニー・ゴルソンを見られるとは思いません
でした。
チケットを取った時はクレジットされてなかったんですよ。
後に出演が決まって,これは嬉しかった。
この人の曲は私も学生時代にやりましたからねえ。
メンバーは全部憶えてないのですが,ベースはBuster
Williams。
ステージに登場して開口一番。
「My name is Dexter Gordon.Oh! No No! Benny Golson.」
お約束のギャグなのでしょうか(笑)。
昔サラ・ヴォーンも「エラ・フィッツジェラルドです」ってやっ
てましたが(笑)。
「ベニー・ゴルソンと言えば」と問うて出てくる曲はほとん
どやりました。
「Whisper Not」「I Remember Clifford」「Along Came Be
tty」と。
懐かしいですねえ。
ベニー・ゴルソンのHPを開くと「Whisper Not」が流れ出し
ます。
http://www.bennygolson.com/
アンコールでは「Blues March」。
ただねえ,もう78歳ですって。
ちょっと演奏は厳しい感じでしたねえ。正直なところ。
管楽器は70過ぎるとダメなのかなあ。
ウエイン・ショーターはまだ元気そうですけどね。
まあ80近いんじゃしょうがないですわね。
コルトレーンの「Mr.PC」なんかもやったのですが,うー
む。
あの歳であれだけ吹けるのは凄いとも言えますが。
昔のプレイのイメージがありますからね。
ちょっと残念にも思うのですが,そんなことより,生きて
動いているベニー・ゴルソンを見られたというだけで感激
です。
このコンサートのチケットはかなり高価なのですが,これ
で少し取り返したかと思えるぐらいです(笑)。
私が生のベニー・ゴルソンを見るのはこれが最後になる
でしょうねえ。
私にとってはラッキーなブッキングでありました。

「Mike Stern Band featuring Makoto Ozone,Dave Weckl
and Chris Minh Doky」。
ここへきて,ベルギービールの酔いが回ってきまして,
途中何度か「ガクッ」と落ちましたが,いやいや相変わら
ず凄い演奏でした。
盛り上がり度合いでは一番盛り上がったんじゃないかな。
マイク・スターンはいつも通り凄いですが,小曽根真さん
も凄かったなあ。ずっぽりこのメンバーにハマってました。
デイヴ・ウェックルもじわっと老けてましたが,相変わらず
手が何本あるのかというぐらいのドラミング。
ベースのクリス・ミン・ドーキーも初めて聴きましたが,堅
実でありながらも物凄い技術で,いいですねえ。
マイク・スターンは全然変わらないですね。
年齢も国籍も不詳な超人ハルク顔。
しばらく彼の時代が続きそうです。

「TOKYO JAZZ 2007 SPECIAL SESSION」。
メンバーはRandy Brecker,Bob Mintzer,Mike Stern,Will
Boulware,Anthony Jackson and Dennis Chambers。
ランディ・ブレッカーは太りすぎ。
演奏中によちよち変なステップを踏むのは相変わらず。
デニス・チェンバースはやや老けて,見た目の凶暴さが更
にアップしておりました。海兵隊の鬼教官みたいな。
ボブ・ミンツァーとアンソニー・ジャクソンはなんだかおじい
ちゃんになってしまっておりました。
ボブ・ミンツァーは「よぼっ」としちゃって。
アンソニー・ジャクソンはぱんぱんに肥大して,座ってベ
ースを弾くから益々年寄りじみて。
大丈夫なのかなあ。足元もおぼつかない様子で。
立って演奏できないぐらいなら痩せればいいのに。
1月に亡くなったマイケル・ブレッカーのトリビュート的な
ライブになるかと思ったのですが,それほどこてこてには
ならなかったです。
ブレッカー・ブラザーズの曲もいくつかやってはおりまし
たが,マイク・スターンやボブ・ミンツァーの曲もやりまし
て。
結局マイケルの代わりに誰か入るとなると,なかなかキ
ツいんじゃないかと思いますねえ。
上手い人はたくさんおりますけれども,ちょっと違うんで
すね。
似たタイプではボブ・バーグという人がおりましたけれど
も,2002年に交通事故で死んじゃった。
そうなると他には今回のボブ・ミンツァー,昼の部に出た
ビル・エヴァンス辺りになってくるのでしょうが,ブレッカ
ー・ブラザーズの楽曲におけるマイケルの疾走感は独特
なもので,なかなか真似できることではないですし,真似
したところでそれに何の意味があるのかもよくわからない。
ところがブレッカー・ブラザーズの曲になると,聴く方はマ
イケル的な演奏を期待してしまうので,違うなあという感
想を抱いてしまう。
難しいところなのでしょうが,その辺のバランスを考えて
の構成だったのかもしれません。
記憶が怪しいのですが,「Sneakin' Up Behind You」を演
奏する前に,「自分にとって特別な曲」だとランディが言っ
ていたように思います。
ブレッカー・ブラザーズの曲は,ランディの作曲が多いの
ですが,この曲はマイケルとの共作らしいです。
そういうことも含めて思い入れがあるのでしょうか。
あとブレッカー・ブラザーズの名曲としては「Rocks」をや
ってました。これもかなりの難曲ですが,まあ頑張ってま
した(笑)。
総じてあまりバンドとしてのお稽古はできてなかった感じ
です。
まあ「セッション」ですから。
それでも超一流の面々なので,腕っぷしでぐいっとレベ
ルを上げてしまいます。
ランディ先生は今回かなりバリバリ吹いてましたね。
マイケルのいない分を埋めるかのようでした。
あのエフェクターをもうちょっと軽めにしてくれたらもっと
良かった(笑)。

そんなところです。
終わったのは23:00ですよ。
12:00から始まって。
これはかなりハードです。見るだけでも。

会場に入る時にチラシなんかがごそっと入った袋をくれま
した。
公演の合間にそれらを一枚一枚と見ていくと,

!!!!!

「速報!! SONNY ROLLINS
2008年5月 来日決定!!」

うおーっ!!
まだ詳細は決まってないそうです。
そのチラシにはこうも書いてあります。
「2005年が『ファイナル』となるはずだった…。
しかし”巨人”は再び立ち上がる。」
だそうです(笑)。
これはなんだ。
「小沢昭一引退興行」か(笑)。
或いは大阪の靴屋さんの「あかん。もうやめます」か(笑)。
その2005年のコンサートの時にも書きましたが,
http://dameblo.asablo.jp/blog/2005/11/07/133712
今まで何度も活動停止をした人で,今回ばっかりはホント
に最後だろうと信じて疑いませんでした。
しかし最後じゃなかった!また!(笑)
ソニー・ロリンズを神と崇める私としては嬉しい限り。
これはもうどんなことをしてでもチケットを入手しなければ
ならない。
そんなオマケも付いた東京JAZZでありました。

※追記
考えてみたらマイク・スターンは,ボブ・バーグ,マイケル・
ブレッカーと,世界に比類の無い大事なサックスの共演者
を立て続けに失っているのですね。
そのショックはいかばかりか。
しかし彼のプレイはいつも元気で明るい。
素晴らしいミュージシャンです。