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六本木美術館巡り モネ,ル・コルビュジエ2007/06/28 22:56

先週ですが,ようやく国立新美術館に行ってきました。
今はモネがかかっております。
私は正直なところ,モネはあまり興味が無いのですが,
世界中から100点近くもモネの作品が集まるというの
はなかなか大変なことですし,新たな発見があるかも
しれないと思いまして見てきました。
入場してだーっと見進めていきますと,20枚ほど見た
ところで一枚の絵に釘付けになりました。
それは「雪中の家とコルサース山」という絵なのですが,
手前の日陰の家々と,奥の陽射しを浴びた山の表現
に魅入りました。
ネット上ではこれ↓ぐらいしか出てこなかったですね。
http://www.uehara-museum.or.jp/calendar/ca_b.html
これ↑だとなんだかわからないですね。
会場で買ったパンフレットを見ても,実際の絵の感動は
無いです。パンフの写真では全く奥行きが感じられない。
実物では雪景色の中での日向と日陰のコントラストが
素晴らしく,絵に近づいたり離れたり,しばらく見てまし
た。
まあなにしろこの絵で「あれっ」と思いまして。
その後はまたいろいろ見えてきました。
同じ様に雪を描いた作品で「かささぎ」というものもあり
ました。
http://www.globalgallery.com/enlarge/022-30315/
雪ですからね。
敢えて難しいものに挑戦したのかもしれませんが,見事
な光の表現です。感銘を受けました。
ちょっとモネをナメてましたね(笑)。
独特の荒々しいとも言えるタッチで,部分を拡大したら
何を描いているのかわからないでしょうが,一歩引いて
見ると,それはアイリスそのものであったりする。
この調子で書いていたらいつまで経っても終わりません
からいい加減にしますが,最後の方に,睡蓮の絵が8枚
ありました。
その内の2枚は海外からのもので,ポーラ美術館,ホノ
ルル美術館の所蔵品ですが,それ以外は日本の美術
館,企業の所蔵するものであります。
この睡蓮8枚が,一つも面白くないんですね(笑)。
この内の何枚がニセモノであろうかと,黒い想像を働か
せてみたりもしましたが。
まあ睡蓮が見たかったらオランジュリーに行かないと
ダメなのかもしれませんね。
そんなこともありましたが,総じて素晴らしかったです。
これからはモネを軽視しないようにしようと思います。
光と空気の表現。いやもう凄い。
このような企画展を見ることができて幸せでした。

国立新美術館に行くからには,是非3Fの「ブラッスリー
ポール・ボキューズ ミュゼ」でランチを食おうと思って
おりました。
ところが大行列でして,まだランチタイムは2時間近く
残っているのに,行列の最後尾には「本日のランチは
終了」の看板が出ておりました。
まあモネをやっている間はこんな感じなのでしょう。
最初から「恨ミシュラン」のつもりで行きましたから
いいのですが,そのうちやっつけてやりましょう。
モネ展は7月2日まで。
国立新美術館
http://www.nact.jp/

次。ル・コルビュジエ。
こちらは森美術館で開催中。
モネと違って,コルビュジエは楽しみにしておりま
した。
期待に違わず,実に面白い展示でありました。
建築家ですから,建築物の模型があるのは当然とし
て,その図面,また構想段階のスケッチなどもあり,
一つのプロジェクトが進んでいく様子を垣間見ること
ができ,興味深いものがありました。
更には絵画,彫刻作品もあり,一つところに留まらぬ
偉才ぶりを示しております。
絵画作品はどれもかなりぶっ飛んでいるものですが,
人間の体,特に女性の体をモチーフにしているもの
が多く,それ以外ではバイオリンやギター,ボトルな
ど,柔らかな曲線がお好きであったようであります。
彫刻も良かったですね。
「手」という作品が特に良かったです。
また1920年代,30年代に構想された自動車。
「マキシマム」というものですが,最小限の車体で
最大限の使用価値を得ようというコンセプト。
当時としては斬新過ぎて,商品化は実現しなかった
ということですが,今ならこれもありかなというデザイ
ンではあります。
シトロエンの2CVを更にダイエットしてシャープにした
ような感じなのですが。
ちょうど良いページがありました。
http://leroux.andre.free.fr/simi57.htm
この↑一番上がコルビュジエの「マキシマム」。
2CVからニッサンのカーゴまで並んでおります。
今なら普通にあり得るデザインであることがわかり
ます。
これが1920年代の構想というのも驚きです。
先を走ってます。
この「最小限自動車」にも見られるコルビュジエの考
えは,建築にも表れております。
それは「モデュロール」というコルビュジエの考えた
建築の尺度を基準にするもので,生活のために必要
な最小限のスケールを建築に適用するというもので
す。
「モデュロール」の説明はややこしいのですが,まず
地球の大きさが基準のメートル法が世界標準の尺度
になるのはおかしいであろうと。
それで身長6フィート(183cm)の人を理想的と仮定
して,その身長と,足元から臍までの高さが黄金比に
なるらしい。
そこから始まって,手を上に伸ばした高さ226cmを
フィボナッチ数列で展開し,……,まあややこしいの
ですが(笑)。
とにかく,独自の基準を作ったのですね。
これを用いて,集合住宅の「マルセイユのユニテ・ダ
ビタシオン」を作った。
会場にはこれの一戸分の実寸模型がありまして,実
際に中に入って見ることができます。
潜水艦の居住区というのはこんなものであろうかと
思うような狭さ,圧迫感は否めないところですが,極
めて機能的な作りになっているのはよくわかります。
マルセイユの後,ベルリンでも作ったそうですが,天
井高226cmという低さが受け入れられず高くしたそ
うです。
それによりモデュロールの均整が崩れ,作品としての
完成度は落ちたということです。
まあドイツ人の気持ちもわからないではないですが。
もう一つ,カップ・マルタンという海辺の土地に,小さな
休暇小屋を奥さんのために建てた。
これもモデュロールの実践で,最小の居住空間を示
す実験でもあります。
3.66m四方(183cm×2ですね)。
およそ8畳のスペースに二つのベッド,机,キャビネッ
ト,トイレ,洗面台があります。
こちらも実寸模型がありまして,中に入ってもみました。
かわいらしい小屋でして。
こんな休暇小屋があったらいいだろうなと。
自分で建てたいですね。
確かに狭いですが,全く無駄がなく機能的。
巨大な都市計画まで練った大建築家の最後の家が
これというのも何か象徴的に思えます。
この様なコルビュジエの「必要最小限」のコンセプト
全てを是とするものではありませんが,言ってみれば
これは私の感覚では現代の「方丈記」であります。
それは貴族性でもあります。
貴族的というのは豪奢な館に住み,着飾ってパーテ
ィー三昧というものでなく,手を伸ばせばあらゆるとこ
ろに届く利便性であり,その身の回りの物を次にすぐ
使えるように整えておく効率性,また自然を慈しむ心
を持つことであろうかと思います。
そういう意味では,独特なアプローチではありますが,
その着地点がこのカップ・マルタンの休暇小屋であっ
たことは大変興味深いものです。
1952年に建てられ,65年,この小屋から海に出た
コルビュジエは,海水浴中に心臓発作を起こし77年
の生涯を閉じたそうです。
ざっとその仕事を追って見ても,かなり強力なおっさん
であったようですね。
コルビュジエのアトリエを再現したスペースもあった
のですが,愛用のイーゼル,眼鏡,パイプなどが置い
てあるのはいいとして,一つ驚いたのは本。
愛読書ということですが,これがなんとコルビュジエ
の愛犬の毛皮で装丁されているというのですね。
いやはや(笑)。
愛犬が死んで,そんな気になりますかねえ。ちょっと
びっくり。
仮に私が同じことをしたとしたら,友達が減っていく
ような気がします(笑)。
いつまでも撫でていたかったのでしょうか。
愛のかたちが,ちょっと私などとは違いますな。
そんな小さな驚きもありましたが,素晴らしい展示で
した。
日本では上野の国立西洋美術館がコルビュジエの
建築なので,近々改めてじっくり建物も見物してみ
ようと思います。
ル・コルビュジエ展は9月24日まで開催。
森美術館
http://www.mori.art.museum/jp/index.html

森美術館に隣接する森アーツセンターギャラリーで
は,「ねむの木のこどもたちとまり子美術展」も開催
中。こちらは7月1日まで。
ねむの木学園の生徒さんの絵について,噂は聞い
ておりましたし,世界中で展覧会を開催しているこ
とも知ってはおりましたが,実際に見るのは初めて。
会場に一歩踏み込んで,もうのけぞりましたね。
衝撃的ですらあった。
パワフルですねえ。
生徒さんとまり子さんの深い絆もありありと出ており
ました。
身体的にかなり厳しい状態の生徒さんも多いことと
思いますが,執念にも似た丁寧さ。
圧倒されました。
学園内で,流行りがあるのかどうか,同じような構図
が多いような気もしましたが,何か見ているとその
生徒さんの心を垣間見るようで,ぐっと胸にせまりま
す。
コルビュジェのチケットでそのまま入れますので,ふ
らっと油断して入ったのですが,フェイントで鼻っ柱に
ストレートをぶち込まれたようになってしまいました。
参りました。
この日は完全に容量オーバーになりましたね。

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