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東京JAZZ 20062006/09/04 13:27

今年で5回目。
一応1回目から欠かさず見ております。
ハービー・ハンコックプロデュースというのがこのイベントの
一つの売りでもあったのですが,今年は当のハービー先生
がおりませんで。
敬遠したみたいですねえ。
1回目が東京スタジアム。
2回目は名前が変わって味の素スタジアム。
3・4回目が東京ビッグサイト。
今回は東京国際フォーラムと。
まあ音質を考えたら国際フォーラムの方がいいでしょうけど。
飲食ができませんのでねえ。
飲みながら見るという贅沢ができない。
空席もちらほら。
かつてたくさんあったジャズフェスと同じ運命をたどってしま
うような予感がします。
主催はNHKなので,NHKの底力で続けてくれたらいいので
すが。
儲からないイベントを続けるのもつらいですからねえ。

私は3日(日)のステージを見てきました。
最初がジョイス。スペシャルゲストにロベルト・メスカネル。
ボサノバですな。
心地よいです。
かなりぶっ速くやったりもしまして,リズムが見えなくなるぐら
いで,なかなかスリリングでもありました。
ジョイスはロベルト・メスカネルのことを「ギターの先生」と
日本語で紹介しておりました。

次がデイヴ・コズ。
これは笑いました。
もうコテコテな演出で。
出から始まってまして(笑)。
客席からサックスを吹きながらステージに上がってくると。
吹きながら踊ったりもするのですが,動きが変(笑)。
ギターとベースのすらっとしたメンバーは何をやってもかっこ
いいのですが,主役のデイヴ・コズはなんだか虫みたいで。
ちょろちょろ動き回る。
またかなり小柄な方なんですね。
曲ごとに楽器を持ち換えるのですが,テナーを持ったら,
テナーが物凄く大きく見えて。
楽器を床にすってしまうのではないかというぐらい(笑)。
音楽的には単純なことをやっているのですが(笑)。
それでも「夏の思い出」をちょっろとやってましたが。
夏がく~れば思い出す~♪ってヤツですね。
あれ,モダンなコードを付けると雰囲気も出て,いい曲です。
どうやって知ったのか不思議ですが,時期的なことも踏まえ
て,そんな曲も織り込む。
そういうことの一つ一つが邪魔くさいというところもあります
が(笑)。
まあ笑かしてもらいました。

次がラリー・カールトン。スペシャルゲストにロベン・フォード。
こちらはぐっと落ち着きまして。
ブルース色の濃いステージでした。
一音一音がぷちぷち握りきっている感じで流石と思わされ
ました。
ブルースはブルースとして,あまり余計なことはしない。
まあブルース一筋でやっている人からすればあれでも音数
が多いのかもしれませんが,ブルースのいいところを出して
くるということで。
ベースはカールトンの息子だそうです。
オヤジは痩身ですが,セガレは巨体で,全然似てない。

昼の部のトリはインコグニート。
コロコロの体で,チャカチャカリズムを刻んでおりました。
往年の名曲もばしばし繰り出しまして。
途中で「立て」「踊れ」と言われ,前がみんな立ち上がりまし
たから,何も見えなくなり,しょうがないのでこちらも付き合い
ましたが。
楽しいステージになりました。
それはいいのですが,メンバーがえらいこと多国籍なんです
ね。
イングランド,スコットランド,アイルランドあたりはいいとして
も,トリニダートトバゴってのもいたかな。
ジャマイカとか。
北欧もいたんじゃなかったかと。
ボーカルの女性の一人が,小池栄子さんを凌ぐ仏像顔で。
高貴なお顔をなさっていたのですが,彼女はスリランカだ
そうで。なるほど。

ここで1時間ほど間がありましたので,ばっちりビールを注
入。
夜の部はまずマーカス・ミラー。
ところが全く印象に残ってないんだなあ(笑)。
あーそうだ。マイルスがやってた「ジャン・ピエール」をやって
ました。
テーマをマーカスがベースで弾きまして。
そこにホーンやハーモニカがからんでいくと。
マーカスがマイルスのポジションで,しかもベースと。
これは不思議な感じでした。
あとは憶えてないなあ(笑)。

次がチック・コリアと上原ひろみのピアノデュオ。
これはもう緊迫感漂う恐ろしい世界でした。
チック・コリアの「ウインドウズ」なんかもやってました。
ホントだったら,ハービー・ハンコックがいる席に上原さん
が座っているんですからねえ。大したもんだ。
ハービー・ハンコックとチック・コリアの対決だと,それぞれ
タイプが違いますので,衝突し,一方がそれに合わせて,
また違うカラーを出していく,というようなことにもなっていき
ますが,今回は親子みたいなもんですから(笑)。
チック・コリアに上原さんがついていくという展開になったか
と思います。
しかし一歩も引かない。堂々たるもので。
実はこの二人は10年前にも会っていて,何か弾いてごらん
と言われて一緒に弾いたことがあるそうなんです。
その時はだから上原さんが17歳。
そんな年の頃に,かのチック・コリアの前で演奏するなんて
ことになったら,私だったら完璧にびびってしまいますが,
上原さんは「楽しかった」と言うんですね。
まあ実力があればこそなんでしょうが,強力に前向きで,
大物ですな。
女性にこんなことを言うのは問題でしょうが,ケツの穴が
デカい(笑)。
またチック・コリアがド変態なものですから,上原さんがご
ちゃごちゃと細かいプレーで誘いをかけると,訳のわからな
い,しかも美しいサウンドで返すんです。
もう勝手にやってくれって(笑)。
まあお父さんのように受け止めている感じではありましたが,
ホントに対等な様子でした。
チック・コリアの方がちょっと変態というところでしょうか。
今回この二人の競演を見て,いかにハービー・ハンコック
が特異なプレーヤーかということも思い知りました。
この二人と違うところは何かと考えましたが,よくわかりま
せん。
タイム感,リズム感,グルーヴ感。その辺でしょうかねえ。
チック・コリアはぐいぐい来るって感じではないですものね。
見る前は,あまり興味がなかったのですが,いろいろ考え
させられて良かったです。

最後がハンク・ジョーンズのグレイトジャズトリオ。
これになんと渡辺貞夫さんが加わります。
ベースがジョン・パティトゥッチ。ドラムがオマー・ハキム。
強力です。
ハンク・ジョーンズは88歳ですって。
でもそんな年齢は全く感じさせないプレイでした。
サウンドもモダンですし。
それで余計なことはしない。ジャズの一番いいところを出し
てくる。
素晴らしいです。
見た目も,とても88には見えない。
ジョン・パティトゥッチ,オマー・ハキムも超絶プレイヤーです
が,バックとしてはそれほど変なこともしない。
その辺は流石です。
ドラムソロになったら,まあ凄かったですけどね(笑)。
会場からどよめきが起こりました。
さて,渡辺貞夫大先生ですが。
結構つらそうだったかなあ。
曲を終わろうとして終わらなかったりもありまして。
フレーズがループしているような感じもあり。
何かこっちまで緊張してしまいましたが。
年末に,ベースは違いますが,このバンドでコンサートがあ
るそうです。
レコーディングはしないのかな。
しかし,昔録った「BIRD OF PARADISE」というアルバム
がありますが(あれもグレイトジャズトリオ。ベースがロン・
カーター,ドラムがトニー・ウイリアムス),あのような疾走感
はちょっと無理かなあと。
残念ですが。まあ貞夫さんも73歳ぐらいのはずなので。
生意気なことを申し上げてしまいましたが,それでもあれほ
ど吹ける人はなかなかいない訳で。
しかしまあ,手癖でついていっちゃってるなあという感じは
否めませんでした。

アンコールではチック・コリアや上原さんなんかも出てきま
して。
ハンク・ジョーンズとチック・コリアの連弾という不思議な光景
を見ましたね。
上原さんは貞夫さんと競演したことになりますね。
いやー。
考えてみれば,バークリーの先輩後輩か(笑)。
上原さんががんがん押していったら,それにオマー・ハキム
が反応して,もっと行け!と思ったのですが(笑)。
オマー先生が口から泡を吹くほど壊れることはなかったです。
それにしてもチック・コリア。
やたらと巨大になってましてね。
昔,マウントフジかなんかで,ハービー・ハンコックに抱きか
かえられておりましたが,今のチック・コリアを抱えたら腰を
悪くしますね。間違いなく。

そんなところです。レポート終わり。
来年は,あるのかなあ。